二兎追うものは一兎をも得ず

私は、「ターゲットを決めてから商品やサービスを開発すべきである」という考え方で事業者の皆さんにアドバイスしております。先日、まさに「ターゲットを絞ることの必要性」を実感する場面に出くわしました。

私がよく行くお風呂は熱めの温泉で、5人が一緒に入ると窮屈に感じるような、浴槽が一つしかない小さな区営の浴場です。多いときは入浴制限がかかるほど「身体の芯から温まる温泉」として人気があり、その地区の人でも、熱いのが苦手な人は、隣にある同じ値段の民営の浴場に行くようです。

身体の芯から温まるのを楽しみに、ゆっくり浸かれる時間を見計らって行ったGWのある日の午前、まだ温もりきっていないのに、番台の方が温度計で44.5℃を確認し、「お子さん連れのお客さんが来られたので水を入れますね」と言いながらホースで水を入れ始め、41℃まで下げてしまいました。

「お子さん連れのお客さんのために」と言われると不満を言うわけにもいかず、私より後に入ってきた、ドライブ客らしい2人は不満顔で出ていってしまいました。

入れ替わるように入ってきた子ども連れのお父さんは、それでも「熱い」と言い、4歳ぐらいのお子さんは、とうとう浸かることができずに、洗面器で掛かり湯だけをして早々に出て行ってしまいました。

良かれと思っての対応だったのでしょうが、「二兎追うものは一兎をも得ず」という結果になってしまったようです。

お子さん連れに「隣のぬるめの浴場」をお薦めしておけば、熱いお風呂が好きなファンを逃すこともなく、また、お子さん連れのお客様にも喜んでもらえたのではないかと思います。

泉質・効能・源泉温度などはパンフレットや入口の看板に書いてありますが、浴槽のお湯の温度まで表示した浴場はあまり見かけません。

特に観光で初めて来られたお客様にとって必要な情報は、泉質・効能より、まずは浴槽のお湯の温度ではないでしょうか。

商品やサービスの特徴など「お客様にとって必要な情報」は、表示基準に沿って数値でわかりやすく適正に表示し、あとはお客様の選択に委ねるべきかと思います。

地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v
次回をお楽しみに♪

See you.