商品開発をして「稼ぐ力」を身につけるためには経営革新計画を!

立春のあと、そのまま春に向かうのかなと思っていたら、今日から3日間は冬の気温に戻りそうですね。体調を崩さないようにお気を付けください。


今日は、出水市にある「有限会社 肉のまるかつ」(※1)の「プリっとミート」をご紹介いたします。

肉職人として約30年の経歴を持つ社長の篠原勝広さんは、鹿児島県内のスーパーの精肉部門に勤めておられましたが、2001年に独立して「肉のまるかつ」を出水市上知識町に開業なさいました。

毎週金曜日に手書きのチラシを出水市周辺に7,500部折り込んだり、また、お店のメール会員1,200人に毎日、昼と夜に一斉配信して注文をとったり、ユニークな方法で地元での顧客を増やしてお店の経営を軌道に乗せ、今では出水市や薩摩川内市にあるチェーン店の10数店舗の肉コーナーを一手に引き受けています。

コスモスの肉のまるかつコーナー

独立してすぐ、厚切り肉の需要を増やそうと開発に着手したのが「プリっとミート」です。「プリっとミート」加工は、真空包装した牛・豚・鶏などの生肉を中心部が60~65℃になるまで温めて殺菌し、急速冷却する方法です。すでに熱が通っているため、お客様の調理時間が短縮でき、肉汁も逃げず、2週間は冷蔵保存できるのが特長です。かごしま黒豚など特殊な肉でなくても、むしろ日常的に取り扱っている国産肉の安価なパーツをおいしくするのが特長です。

研究熱心な篠原社長の努力が実り、2017年7月、この「プリッとミート」加工が製法特許を取得することができました。

プリっとミート商談テーブル切り抜き

その後、積極的に出展した展示会や商談会でのバイヤーからの評価は高く、2019年12月から、全国に数百店舗を展開するチェーン店の福岡県内の大型店舗で、「プリっとミート」の取り扱いが始まりました。近いうちにこのチェーン店の海外店舗での取り扱いが始まることを見据えて、外国での特許権と商標権も取得しておられます。

また、九州に約90店舗を展開する有名量販店との商談も進んでおり、まもなく「プリッとミート」が店頭に並ぶことでしょう。

この「プリっとミート」は県外の大消費地だけでなく、出水市役所が運営する「ツルの恩返し便」や「ふるさと納税返礼品」にも掲載され、出水市民が自慢できる特産品として知名度が向上してきております。

全国各地で鳥獣被害が問題となっており、その対策の一つとしてジビエを使った料理の普及活動が行われております。鹿児島県内では数少ないジビエ加工処理施設が出水市にあり、(有)肉のまるかつでは、その加工処理施設で一次処理された鴨・鹿・猪などのジビエを「プリッとミート」にして唯一無二の商品を開発し、出水市の地場産業の浮揚と鳥獣被害対策に貢献したいと取り組んでおられます。

篠原社長の技術研鑽やブランディングに対する意欲は旺盛で、2018年には全国食肉検定委員会の「お肉博士1級」に認定され、また、2019年には(公財)食品等流通合理化促進機構から「優良経営食料品小売店等表彰」を受けられました。このような自社の取組をSNSで発信している効果が出て、地元のテレビ・ラジオ・新聞・情報雑誌等での露出が増えてきています。

食品製造業や飲食業にとってHACCPの義務化は避けては通れません。(有)肉のまるかつでは、昨年、HACCP責任者養成講座を受講して、従業員全員が終了証書を受領しておられます。また、HACCP認証協会の指導に沿って、加工施設の改装や機械設備等の設置を進めており、今年6月までにはHACCPによる衛生管理制度の導入を始められる見込みです。

また、今年1月、数か月かけて策定してきた経営革新計画が県から認定されました。

篠原社長は、抱えている悩みやわからないこと、また、「やりたいこと」「ありたい姿」について率直に話してくださいます。また、地域彩生Labが提供する情報やアドバイスを素直に聞き入れて実行なさるので、取引先・行政・地元顧客などのステークホルダーが関心を寄せ、集まってくるのだと思います。

唯一無二の「プリッとミート」を武器に「稼ぐ力」が向上し、「ありたい姿」に到達できると確信しております。

・(※1)有限会社 肉のまるかつ

地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v

次回をお楽しみに♪

See you.