ふるさと納税から見える「Webサイトの有用性」と「組織化の必要性」について

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国内の新型コロナウイルスの感染者数は増え続けており、「第2波の真っただ中にある」、「ピークを迎えているが、今後減少するかどうかは不明である」、「人が移動するとコロナウイルス感染も拡大する」など、感染症の専門家等の発言が、毎日のように報道トピックスの上位になっています。


いっぽう、「Go To Travel」キャンペーンは、賛否両論ある中で「見切り発車」「強行発車」した形になり、当初の期待ほどの効果は出ていないように思います。


また、全国の百貨店で開催されていた物産展や地域での販売イベントはほとんどが中止となる中、「新しい生活様式」の一つになってしまった、いわゆる「巣ごもり生活」の時間が増えたことで、「オンライン」での商品・サービスの売上や商流・物流・情報流通が伸長してきているようで、「ふるさと納税返礼品」にも新たな動きがみられるようです。


8月11日の南日本新聞の報道によると、2019年度のふるさと納税は全国的には7年ぶりに減少に転じたものの、鹿児島県内へのふるさと納税寄付額は、43市町村のうち29市町村で寄付額が増え、前年度の1.37倍の約312億円となり7年連続で過去最多を更新したようです。


中でも、私が昨年取材した南さつま市(※1)は、2018年度の約22億円が2.1倍の46億円に増え、県内トップ、全国8位になりました。その躍進の一番の理由は、ふるさと納税返礼品に掲載する約80名で「チーム南さつま ふるさと納税振興協議会」を組織したことにあると思います。

返礼品収益の中から徴収した負担金で専従員を雇用したり、研修会の開催や協議会会員の互助費用に充てているとのことでした。また、リクエストの多い返礼品を送るときに、リクエストの少ない返礼品のパンフレットを同封するなど、「協調と競争」による運営に取り組んでおられます。

協議会の会長は、「いつまでも行政からの補助金に頼らず、ふるさと納税返礼品制度を活用し、行政主導ではなく自分たちで運営することで地域活性化に貢献していくことを協議会で申し合わせている。また、地元の狭いエリアで喰い合いするのではなく、協力し合うことで『外貨を稼ぐ』ことができる。そのためには連携してしっかりした組織を作ることが必要である。」とおっしゃっていました。


もう一つ、2018年度の約17億円が1.7倍の28億円に増えた大崎町(※2)では、昨年、ふるさと納税返礼品に掲載する 23事業者が組合員として参加し、「大崎町ふるさと特産品振興事業協同組合」を組織しました。

この組合では、「返礼品を3品以上、ご当地グルメを10件以上開発すること」など、ふるさと納税返礼品の拡充や特産品の開発と販売促進のための具体的な事業計画を立てて、「大崎ブランド」の県外へのPRに取り組んでおられます。

また、「事業者の横の連携を図り、基盤を固めて自走できる組合を目指し、行政とも連携する」ことを組合の活動方針にしておられます。(2019年6月23日、南日本新聞)


数年ごとに異動を伴う行政マンが主体となって頑張っても、長続きはしません。恐らくそういう地域には、「行政マンがやるのが当然だ」と思っている事業者が多いのではないでしょうか。

また、売上が減少して困っている事業者が集まって、「出費をせずにできることを考えてみよう」としても、頓挫してしまいます。


会費や負担金など、身銭を切ってでもやろうという覚悟を持った事業者が「自分たちがやるべきこと」として、主体となって動きだすべきだと思います。そしてお互いの「覚悟と責任感」を確認し、維持・継続する方法が「組織化」であろうと思います。

必ずしも新しい組織でなくても、地域にある特産品グループなどを主体として、行政や商工団体が後押しすることで動き出すのではないでしょうか。


8月24日の日本農業新聞で、「返礼品を選択しない『品なし寄付』の件数が前年比2倍超となっている」ことが紹介されています。全体としては「魅力的な返礼品」を選べる地域に寄付をする割合が多いのでしょうが、「新型コロナウイルスや自然災害による影響が続く中では、寄付金の使い道に対する意識が高まり、ふるさと納税を活用した地域支援の動きが加速している」ようです。

「地域を応援するという制度本来の趣旨に立ち返る機会となり、市場にも変化が生まれている」ので、「今後は、地元の農畜産物などの返礼品と併せ、寄付金の用途を明確にすることが、寄付の呼び込みにつながりそうだ」とも指摘しています。


新型コロナ感染拡大による影響が続いている状況下では、商談会や販売イベントに出展して販路や顧客を新規開拓することは至難の業です。

ふるさと納税のような全国レベルで知名度の高い制度を活用し、エンドユーザーや寄付者が何を基準にして商品やサービスを選び、また、何に対して寄付をして満足感を得ようとしているのかを追求するなど、地域で連携して「関係性マーケティング」(※3)に取り組むべきかと思います。



P.S. ホームページをお持ちの皆さんは、行政や商工団体などオーソリーティの高いWebサイトからリンクを張ってもらうことで、自社サイトのSEO対策になり、また、返礼品として選んでもらった後のダイレクト・リーピートも期待できますよ。


(※1)南さつま市

(※2)大崎町

(※3)関係性マーケティング:顧客との間に強い絆を作り共鳴を最大化するマーケティングのことをいう。(by コトバンク)


地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v

次回をお楽しみに♪

See you.