決して目立つような仕事ではないけれども、そこにプライドを持って、一つ一つ手を抜かずに仕事をしていくことです!


毎週火曜日、NHKで放送される「プロフェッショナル 仕事の流儀」(※1)という番組が大好きで、録画して観ています。

10月13日の放送は、「当たり前が、当たり前であるために~路線バス運転手・大森透~」というタイトルでした。


私は仕事柄、製造業の職人さんや接客・サービス業など、その業界で名の通ったプロの「仕事の流儀」を好むので、「今週は運輸業なので録画予約はパスしようかな…」とも思いましたが、「まぁ、録画しとくか…」という緩い判断が結果として大正解で、思いがけず、「これだ、このサービスだ!」ととても感動し、涙ながらに観ることになりました。


路線バス運転手の大森透さん(62歳)はこの道40年のベテランで、20年前までは貸し切りバスの運転手で、また、2年前まで指導主任として運転手の育成にもあたり、定年後も一運転手として働き続けておられます。

番組への出演依頼があったとき、「いち運転手が、こういう番組に出ていいのか」と戸惑いながら、家族とも相談して「こんな自分でよければ」と思い、また、「365日、地域の日常を支えている全国のバスの運転手さんの日々の努力と、プライドを持って仕事していることを伝えられれば」という思いで引き受けたそうです。



大森さんは、バスの運転手という仕事と「平凡」という言葉がすごく好きなのだそうです。

そんなに目立たず、人に求められなくても、災害やいろんなことがある今のこの世の中が、当たり前のことが当たり前でない日常生活になっている中で、この自分たちが平凡に生活や仕事ができてることが一番大事なことであって、これ以上のものを求めなくても、今の生活をこうやって維持してやっていければこんな幸せなことはないと言っておられます。


バス停で待っているお客様の笑顔を見ていると「いい一日でありますように!」と願っていることが分かるらしく、その気持ちを無駄にせず、乗り物の中でもいい思い出を作ってもらいたいと思い、お客様に声を掛けておられます。


それに応えてお客様も「ありがとうございました。お世話になりました」と言ってバスを降りていかれます。

ときにはバスを降りたお客様にも車外スピーカーで道案内をするなど、バス停のその先にも思いを巡らせ、いかにお客様の心に「安心」や「喜び」をプラスできるかを問い続けながら好きな仕事を続けておられます。



大森さんが勤める会社には約200人の運転手がいて、そのほとんどが転職して路線バスの運転手になったため経歴も様々のようですが、番組に登場するすべての運転手さんが、「お客」や「お客さん」ではなく「お客様」という表現を使っておられることにも感動いたしました。


番組では、安全運転はもちろん、車体の揺れを最小限に抑えて乗客を車酔いさせないようにするなど、さらにその上を追求している大森さんのことを「地域を支える名物ドライバー」として紹介しています。

また、自然災害や新型コロナウイルスの感染拡大により当たり前の日常が奪われた今、一見、目立たない地味な仕事かもしれないけれど、縁の下でお客様の日々の生活を支える路線バスのドライバーのような職業は、「エッセンシャル・ワーカー」(※1)として注目されているのだそうです。私は初めて聞く言葉です。


普通一種免許を取得している私は、ある意味「プロドライバー」ですので、責任をもって安全運転をしなければなりません。また、タクシーやバスなど緑ナンバーの車を運転し、第二種免許で旅客を運ぶドライバーさんは「プロの中のプロ」だと思っております。


番組の恒例である「プロフェッショナルとは?」という問いに対して、大森さんは、「決して目立つような仕事ではないけれども、そこにプライドを持って、一つひとつ手を抜かずに仕事をしていくことです!」と答えられました。


平凡でかけがえのない日常を陰ながら支える。そんな大森の仕事は、どんな華やかな仕事にも劣らず、輝いて見えた」という言葉で番組が締められました。

まさに、名もなきプロフェッショナルには「ゴールドナンバー」を付けて、「いつまでも平凡に輝いてほしい」という思いです。


(※1)プロフェッショナル 仕事の流儀

(※2)エッセンシャル・ワーカー

地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v

次回をお楽しみに♪

See you.