マニュアルの質のレベルが高まっていくことで会社の付加価値額が大きくなり、労働生産性も向上してブランディングが進んでいきます!
2月14日、バレンタインデーのチョコを心待ちにしながら観ていた朝の「がっちりマンデー!」は、「じわじわ増えていつの間にか100店舗以上のお店」の特集で、「焼きたて食パン一本堂」と「東京唐揚げ専門店あげたて」が紹介されました。(※1)
「焼きたて食パン一本堂」は2013年に創業し、2020年にはフランチャイズが130店舗に増えた「食パン専門店」です。(※2)
「2週間の研修でしっかりと技術を学んで独立できること」「食パンの作り方だけを覚えれば良いということ」が一本道のフランチャイズ展開の特徴で、「生地のコネ具合」を講師がマンツーマンで研修生に徹底指導してくれます。
生クリーム食パン・レーズン食パン・チーズ食パンなど味の種類が多くても基本が同じなので、食パンの生地作りがちゃんとできれば、あとは材料を混ぜるだけで大丈夫なようです。
いろんなパンを作ると1500万円以上の設備費と広いスペースが必要ですが、「食パン専門店」にすることで、500万円の設備費と狭いスペースで済むということのようです。
入口のボードにパン焼きスケジュールが掲示してあり、お客様はお目当てのパンの焼きたての時間をチェックして買いに来られ、人気店の売上は月額350万円、年商4000万円にもなるようです。
「東京唐揚げ専門店あげたて」は2019年10月に創業し、2020年12月には154店舗に増えた「唐揚げのバーチャルチェーン専門店」です。(※3)
どの飲食店にも「東京唐揚げ専門店あげたて」の看板はなく、それぞれのお店が店内ではイタリアンや中華料理などを提供し、唐揚げはウーバーイーツのデリバリーで販売するというバーチャルチェーン店です。
飲食店が自社だけでウーバーイーツなどのデリバリーサービスに登録しようとすると、審査やチェックなどに数ヶ月かかってしまい、また、デリバリーを始めても競争が厳しくて注文が来ないのが現状のようです。
いっぽう、「東京唐揚げ専門店あげたて」はネームバリューがあって、バーチャル内で注目されやすくなる方法を研究し、時間帯で写真を差し替えたり、商品名や説明文を検索にヒットしやすいものにしたり、注文数を上げるための細かい工夫を繰り返すプロフェッショナル集団なので注文がバンバン来るようです。
また、加盟してすぐにレシピを提供して指導までしてくれるので、フライヤーを設置して売上の20%のロイヤリティーを本部に支払うだけで、約2週間でオープンにこぎ着けられるとのことです。
人気店では唐揚げだけで月額200万円を売り上げるので、フランチャイズ加盟の希望が殺到しすぎて約500店舗が「指導待ち」の状態のようです。
昨年12月、KYTの「鹿児島名店が挑むラーメン新時代」という番組で、指宿の「麺屋二郎」が紹介されました。
「麺屋二郎」は2010年指宿市で創業し、2016年ニューヨークのラーメンコンテストで優勝したあと2017年にはニューヨークに3店舗を出店しました。(※4)
安間二郎社長(40歳)は自分の経験から、ラーメン店の開業に熱意を持った人が開業時の経費負担を減らして一歩踏み出せるようにと、「人材育成」を目的に、2日間の講習でラーメン作りの実技から経営までを教える「ラーメン学校」を開講しました。
定休日の実店舗を使用して、1日目はラーメンを仕込み、2日目は受講者が作ったラーメンをお客さまに販売するという実施型講習です。ラーメン作りのほか、開店までの様々な手続きや店舗経営、食器類に関する知識など、自ら作成したマニュアルに沿って惜しげもなく教えます。
一般的なラーメン学校の受講料は10万円以上のようですが、「麺屋二郎」の受講料は無料で、また、希望者だけにレシピを5万円で提供するのでほとんど利益が出ないとのことです。
それでも安間社長は、「近いうちに東京にラーメン学校専用の店舗を作って、日本中のラーメン店を開業したい人の登竜門にしたい。また、鹿児島県内にフランチャイズを出店させ、さらに全国の大都市に開業して、『指宿ラーメン』を日本を代表する『ご当地ラーメン』にしていきたい」というビジョンを持っておられます。
「昔のテレビ番組を観て、ラーメン屋さんに習うのは気むずかしくて怖いというイメージがあったが、まったく違って、何回聞いても優しく教えてもらえた。麺屋二郎のスタッフが若い人ばかりなので馴染みやすかった。」という受講者の感想も紹介されました。
以前、土産品店の経営者から「従業員が長続きせず辞めてしまうので困っている」という相談がありました。
店長を含めて4人のスタッフがシフト制で働いていましたが、作業や接客についてのマニュアルが無いことを指摘すると、「マニュアルがあると、マニュアルどおりのことしかできなくなるので作っていない」と、マニュアルを作っていないことの言い訳が返ってきました。
この土産品店は商業施設のテナントとして入店しており、このお店だけの独立したPOSシステムではなく、すべてのテナントがその商業施設共用のシステムに従ってレジを締め、オリジナルの共用伝票に記入して毎日の売上を報告することになっていましたが、その手順書も備えてありませんでした。
レジの締め方や伝票の書き方は店長が一回だけ実地指導をするだけで、接客・サービスについての実地指導や研修はありません。
また、シフト制で勤務するため、スタッフの言葉遣いや接客の仕方もそれぞれで、サービスの質も低いレベルでバラバラでした。
お客様からの苦情が商業施設の事務所を通して経営者に伝えられ、普段はお店にいない経営者からやかましく怒られては、新人が長続きせず辞めてしまうのも当然です。
マニュアルは、製品を製造したり、サービスを提供する上で必須のものであり、基礎となるものです。その基礎があってこそ応用が利いてくるのです。また、マニュアルは一定のレベルに留まるものではなく、製品やサービスの質の向上とともにマニュアルも改善されていくべきです。
マニュアルの質のレベルが高まっていくことで会社の付加価値が大きくなり、また、労働生産性も向上してブランディングが進んでいくものだと思っております。
(※1)がっちりマンデー!
(※2)焼きたて食パン一本堂
(※3)東京唐揚げ専門店あげたて
(※4)麺屋二郎
地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v
次回をお楽しみに♪
See you.