事業再構築補助金の申請受付が開始されました。「新分野展開」や「業態転換」に取り組むには、確かな環境分析と綿密な事業計画が必要です。


NHKの「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」は、「あらゆる金額を可視化して現代社会を学ぶ!」というタイトルで、いろんな新ビジネスを紹介する番組です。4月17日の放送では「駅ナカのお金の秘密」が紹介されました。(※1)


世界有数の鉄道王国日本の鉄道業界では、少子高齢化等により利用者が減少しため1990年代前半から収益が悪化し、それまでの運賃収入以外の新しい収入源を確保するため、全国各地のターミナル駅を中心に駅の再開発が行われ、「駅ナカビジネス」が勃興してきているようです。


「駅ナカビジネス」とは、鉄道会社が駅構内を「デパート顔負けの商業施設」にしてスペースを貸し出し、賃料から収益を上げるスタイルで、今では「駅ナカ」に出店したいお店が増えて頻繁にお店が入れ替わり、厳しい競争の場に急成長してきているようです。

「駅ナカ」で生き残るためのキーワードの一つである「時短」に沿っていろんな工夫をしているお店がいくつか紹介されました。

◎シェアオフィス:電源・Wi-Fi・モニター・冷暖房・防音設計が整備されて、15分250円

◎薬局:急いでいるお客さんが迷わないように症状別の薬の売れ筋ランキングを掲示

◎書店:背表紙陳列ではなく、フェイス陳列でインパクトを出して衝動買いを誘う

◎理髪店:新しい髪型に変えるより、いつもの髪型に早く整えたい人が多いので、普通の理髪店(60分)のいろんな手順を省いて、最短(10分)で髪を切るヘアカット専門店(シャンプーの代わりにエアウォッシャーで髪の毛を吸い込む機械を使う)


また、「時短」作戦とは別の方法で「お客さんの心をつかむビジネス」として、お客さんの要望に沿ってサービスを増やして6年間で40%アップの190億円を売り上げるようになった「靴の修理や合鍵を作る店」が紹介されました。

◎電車で通勤する人は行きと帰りの1日2回駅を利用するという「駅ナカ特有の利便性」を活かして、「預かって、その日のうちに返す」サービスを増やした。(ハンコを作る、クリーニング、鞄の修理、傘の修理、時計の電池交換、スニーカーのクリーニング、ビデオをDVDにダビング など)

◎サービスごとに徹底したマニュアルがあって、定期的に厳しい研修を受けているので、一人のスタッフで対応できる。

◎お客さんの需要を確認して始めたサービスなので、時代の波に左右されずに業績を伸ばすことができる。


この番組を観て、1993年には1兆9000億円を超える鉄道事業収入を得ていたJR東日本が、10年後には約640億円ダウンし、その後、「駅ナカビジネス」等への「新分野展開」「業態転換」「事業・業種転換」等により、新型コロナウイルスが感染拡大する前までは売上を回復しつつあったことがわかりました。


さて、令和2年度3次補正予算による事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)の申請受付が4月15日に開始されました。(※2)


経済産業省のホームページによると、この事業の目的の一つは、「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すこと」であり、また、申請要件の一つは、「事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行う」こととなっています。


新型コロナウイル感染拡大の影響で、売上が10%以上減少した事業者は多く、また、「建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復)」や「機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)」等も補助対象経費に含まれており、さらには通常枠の補助上限額が6,000万円(補助率 2/3)となっているので、この補助金への申請を検討しておられる事業者も少なくないと推測いたします。


難しいのは、「ヒト・モノ・カネ」といった有形財産や「情報」といった無形財産など、これまで培ってきた「経営資源」を生かしながら、どうやって「新分野展開」や「業態転換」に取り組んでいくのかということだろうと思います。


また、別の補助事業を実施している途中であり、融資の返済が残っている会社の経営者にとっては、新たにこの事業への申請をするかどうかは、とても難しい判断かと思います。


申請が採択された場合、「補助事業期間は12か月又は14か月」となっており、交付決定から限られた期間内に「建物の建築・改修・撤去」や「機械装置・システム構築等の購入・導入」等のすべてを完了しなければなりません。


この事業の目的である「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため」には、「駅ナカ」のお店のように、「時代の波に左右されずに業績を伸ばすことができる」事業について、十分な時間をかけてしっかりとした計画を立ててから申請したほうがよいと思います。


幸い、「補助金の公募は、1回ではなく、令和3年度にも複数回実施する予定」となっているようなので、熟考してみてください。


(※1)「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」

(※2)中小企業等事業再構築促進事業

(※3)地域彩生Lab

地域彩生Labの近所では毎年2回、きれいな薔薇を鑑賞できます。

地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v

次回をお楽しみに♪

See you.