「四方よし!」のビジネスモデルにより、他者にもメリットを提供することで「がっちり!」儲かるようです。



地域彩生Labでは、鹿児島の特産品製造会社が商談会に出品する際、同席してサポートすることが多いのですが、そこでよく、

卸売会社から、「当社の取引先は100店舗あるので、毎週、2ケースずつを全店舗に納品できますか」とか、また、

小売店から、「御社との直接口座は開設できないので、帳合はA商社かB商社にしてください。どちらかと取引はありますか」といった事例にぶち当たります。


そういった場合、こちらの現在のキャパシティと商談先からの要求との差が大きすぎて、歩み寄れないことがほとんどです。


たまに、メーカー側の都合や利益幅のことだけを考えて、大手量販店に対して、卸売会社を通さない、いわゆる「中抜き」を提案する製造会社もおられますが、その提案はまったく受け入れてもらえません。


さて、7月11日に放送されたTBSの「がっちりマンデー!!」は、「上場した儲かり企業を直撃!」というテーマで、最近上場したばかりの会社が紹介されました。(番組の映像を写真に編集し、数枚を掲載しました。)(※2)


「日本経済の大ピンチ」と言われながら、意外にも2020年は100社以上、2021年前半はすでに54社が上場しており、また、「インターネットを媒体にしているので、本社がどこに所在するかはあまり関係ない」という理由で、約4割が東京都以外に本社があるようです。


約70年前、アイスキャンデーを製造・販売する会社として創業した食品卸の専門商社「㈱アイスコ」(横浜市)は、2021年4月に上場し、関東・東海を中心に約5700店舗にアイスクリームや冷凍食品を卸し、年商400億円を売り上げているそうです。(※1)


㈱アイスコの業務の特徴は、

①アイスクリームや冷凍食品など「フローズン温度帯」の商品に特化している。

②小売店の冷凍倉庫に納品するのではなく、お店の従業員に代わって、アイスの冷凍ショーケースに商品を陳列する。

 ○ファミリー層が多いスーパーには、何個も箱に入った商品を多く並べる。

 ○気温が上がり蒸し暑い時期は、「ガリガリ君」や「スイカ&メロンバー」などの氷カテゴリーの商品を、お客様がレジに向かう途中で「ついで買い」してもらえるように、レジに近いほうの角側に陳列する。

 ○観光地や温泉街のホテルの売店は、テンションの上がった旅行客に高級アイスを買ってもらえるように「ハーゲンダッツ」に特化して陳列する。

③最近、ググッとアイスの売上を伸ばしているドラッグストアは大きな冷凍倉庫を持たないので、㈱アイスコが所有する300台以上の冷凍トラックをバックヤード代わりに利用してもらっている。


㈱アイスコは、「四方よし!」のビジネスモデルにより、他者にもメリットを提供することで「がっちり!」儲かっているようです。

○「メーカー」は、店舗ごとに小分けして納品する必要がなく、品質管理までしてもらえる。また、多くの店舗に卸してもらえる。

○「卸売会社」である㈱アイスコは、仕入れ量が増えることで、メーカーとの価格交渉が優位になる。

○「小売店」は、バックヤードのコストや人件費を削減できて、売上も伸ばせる。

○「エンドユーザー」は、品ぞろえが良くて品切れが少ないので、品質管理されたアイスを安心して買うことができる。


少量ずつしか作れない地域特産品は、利幅の大きいBtoCビジネスが向いているかもしれませんが、大量生産できる商品を大消費地で効率よく販売したいと思うのなら、「中抜き」しようと考えず、卸売会社が果たしている役割や機能を十分理解し、流通が連携することで成り立っている「バリューチェーン」についてもう少し研究してから、大消費地での販路開拓を目指すべきだと思います。

(※1)㈱アイスコ

(※2)がっちりマンデー!!

地域彩生コーディネーターの櫨山でした。(^_^)v

次回をお楽しみに♪

See you.